杏の気分ほろほろ/杏

前作のエッセイ「杏のふむふむ」を読んで、読みやすい文体が気に入ったので、今回の「杏の気分ほろほろ」も読むのを楽しみしていました。

変わらない安定感で、忙しい合間の休日でもゆっくり休むではなく、インプットしに海外行ってレッスンを受けたり、舞台や美術を観たりと行動的で、この方のエッセイを読むと、怠惰なわたしは刺激を受けます。

仕事中心のエッセイですが、合間に結婚や出産されたことにも触れていて、なぜかホッとしました。
それにしても、この方、さすが本読んでるな~と思われる単語が随所に出てくる。
その中でも「面映ゆい(おもはゆい)」という言葉の響きが気に入りました。

どこかでサラッと使ってみるぞー(笑)

マチネの終わりに/平野啓一郎

平野啓一郎さんは初めて読む作家さんでした。

この本を手に取ったきっかけは、確かアメトークの読書芸人特集でピースの又吉をはじめ、何人かがおすすめしていたこと。図書館で予約して数ヶ月…忘れたころにようやく手元に来ました。


物語は、クラシックギタリストの蒔野と、海外の通信社に勤務する洋子の出会いから始まります。初めて出会った時から、強く惹かれ合っていた二人。しかし、洋子には婚約者がいました。やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまいます。互いへの愛を断ち切れぬまま、別々の道を歩む二人の運命が再び交わる日はくるのかー
冒頭からこの物語の主人公である二人には、モデルがいるという文書にまず惹きこまれました。
量としては400ページほどありましたが、儚くて美しい映画のひと場面を見ているみたいと、読み始めに感じた印象が最後まで一貫して変わらなかったです。


小説に登場する音楽って、いつも不思議に思います。
実際に音は聴こえないですが、言葉から、頭の中で創造して音を感じ取る。
作家の力量も試されると思いますが、日本語の表現の幅に驚き、つくづく日本に生まれて、日本語が理解できて良かったなと感じます。
映像化されていない作品だとなおさら、自分の好きなように解釈ができるので、読む人それぞれに違った音楽が流れているだろうな。
以前、宮下 奈都著「羊と鋼の森」を読んだ時にも思いましたが、こういった音のある小説はおもしろいですね。

肝心の内容にはあまり触れていませんが、この作品から感じたことと言えば、この「青」と「黄色」のシンプルで特徴的な表紙は一度見たら頭の隅に残るほど印象的でした。
読み終えて、改めてじっくりと表紙を見ると、この青と黄色が「蒔野」と「洋子」のように思えてきてなりません。交わる部分の緑が少ないというのは、物語の中でもそうだったし、再会したあとの結果も表しているのかな。

続きが知りたい!ここまで読んだのに、最後の最後で消化不良か…という終わり方ではなく、物語はその後をなんとなく予想できるような、キレイな終わり方で。さすが大人の恋愛小説だと感じました。

門出二人桃太郎@歌舞伎座

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いつか歌舞伎座で歌舞伎を見てみたい、と思ってはいましたが、こんなに早くに実現するとは。
先日、歌舞伎座で「門出二人桃太郎」を観てきました。急にむくむくっと観たい欲が出てきたので、初歌舞伎で初めて一幕見席に挑戦です。今のネット社会は便利ですね。調べれば、どのくらい早めに並べば券が取れそうか、だいたい予測できるのですから。2時の幕見販売に気合を入れて午前中から並んで、3時間半並びましたが、それくらいの時間並んでも「この目で生で観ることができて本当に良かった!」と心から大満足した舞台でした。
 
「門出二人桃太郎」は夜の部の最初の演目。
4階の幕見席は花道、舞台を見下ろすような席ですが、全体が一目でよく見えました。
二人の桃太郎が出てきた途端、(私も含め)会場中から「かわいい~」の息がもれました。
一言セリフを言うにも、一歩動くにも、何をするにも終始かわいかったです。私も長女なので(?)どうしてもお兄ちゃんに目がいってしまいますが、お兄ちゃんの勘太郎くんは6歳とは思えないほど(この日はちょうどお兄ちゃんの誕生日でした)立派に演技をするし、弟の長三郎くんもお兄ちゃんに続いて堂々と演技していて、さすが中村屋
あんなに見守るように観た舞台は初めてですが、そもそも、3歳、6歳の役者が立つ舞台って貴重だよぁと観ながら思ったり。
それにしても、途中、20数名の役者が揃い頭を下げ口上するなか、父親の勘九郎さんが頭が床につきそうなくらい終始頭を下げていたのが印象深かったです。その姿を通してこの演目、息子たちへのいろいろな思いがひしひしと伝わってきました。
かわいいな、かわいいなと思いつつ、この二人がが背負ってる歌舞伎界の期待とか重圧とか一般人の私にはわからないほど、ものすごいものなんだろうなぁ。それくらい、歌舞伎が初めての私にも会場の雰囲気から感じ取って、なんとも言えない複雑な気持ちになってしまいました。
 
しかし、舞台や衣装の豪華さ、繊細な色使い。歌舞伎って敷居の高さを感じていましたが、笑いもあってけっこう親しみやすい演劇だと感じました。これからも永く続いてほしいと強く思った日本の伝統芸能
 
今度は幕見ではなく、席を取ってじっくり観たいと思います。
そして、この二人が大人になって自分たちの息子が桃太郎を演じるとなったら、またもう一度観たい。
 
良い目標ができました。
 

謹賀新年

明けましておめでとうございます。
今年もマイペースに更新していきます。

今年の目標は2つ。
まずは昨年に引き続き、お金の勉強をすること。
お金やFPなど勉強し始めてから、お金のことに関しては知らないと損することばかりだと実感しました。
今まで読み飛ばしていた新聞の経済面もだんだん興味を持つようになったり。

お金に関する本をいろいろ読んできて、初心者向きと思ったのは、
「知らないと損する 池上彰のお金の学校」
お金の起源から、銀行、保険、投資、税金などわかりやすく説明されています。
こういうことは、ぜひ義務教育で教えてもらいたかったなー
そんなことを思いながらも勉強、勉強。

2つ目は、習い事を始めたい。
何を習うか全然決めていなくて、ただ漠然としていますが…。
仕事以外に居場所がほしいというのが本音ですが、実用的なことがいいかな。

実行したら、またブログに書きます。
今年もよろしくお願いします。


落語三昧

落語協会二ツ目が一堂に会する「年忘れ二ツ目の会」を観に浅草演芸ホールへ。
昨年、この会の存在を知り、1年越しに行ってきました。

昼、夜の部合わせて、50人弱。うち真打4人と色物除くと二ツ目42人。
一応持ち時間一人10分前後だと思うのですが、噺オチまで持っていく人の他に、噺の最高潮で時間となってしまったり、マクラで終わる人もいたりして、慌ただしさがありつつ、緩急がついてこれぞ寄席という感じがしました。

お目当ては何人かいるのですが、その一人、
今回も会場は爆笑の渦だった。
数年前、たまたまテレビで馬るこさんの落語を聴いて、頭で「○○だから、おもしろい」と思うのではなく、心からジワッと「あ、この人上手い」と初めて直感的に感じた落語家さんなので、それから追うようになりましたが、来春、真打昇進なので二ツ目見納めできて良かったです。

噺の内容と演者のコンディションと聴き手(観客)個人の噺(古典・新作など)の好き嫌いとか相性があると感じるので、どうしても「落語=おもしろい」と言い切れないのですが、馬るこさんは少なくとも生で聴いた回とテレビで見た回、毎回おもしろい。だから今のところ、私の中では「馬るこ=おもしろい」の方程式が成り立ってます。

次に、鈴々舎八ゑ馬さん。
個人的に関西弁というだけでお笑いポイントが高いですが、関西の落語家さん=上方落語協会と思っていたので意外でした。楽しい。

そして、柳亭市江さん。
先月の池袋演芸場で聴いて以来、密かに惹かれています。醸し出す雰囲気が落ち着いていて、声がいい。正統派で聞かせる落語という印象。
SNSなど発信される落語家さんが多い中、市江さんはSNSをされておらず、私の中ではレアポケモン的な存在です。

初見の林家ひろ木さん
おもしろかった。やっぱり新作が好きだなー。

こちらも初見の柳家さん若さん
上手かった。馬るこさん同様、心からジワッと「あ、この人上手い」と直感的に感じる瞬間がさん若さんにもありました。

浅草演芸ホールは2回目。自由席なので、気分によって席を変えることができます。
途中から背もたれが高い2階席でゆったりと見てました。
ただ若干、一体感に欠ける…!ちょっと寂しい。

今回は、現在落語協会に所属している二ツ目の半分ぐらい観ることができました。
これで顔と名前はある程度一致したかもー。



ぐるっとパスで、秋の美術館巡り

ぐるっとパスを使って、美術館巡り。
今回は渋谷方面を中心に3か所行ってみました。

なかなか用がなければ渋谷には行かないんですが、いつ行ってもあの街の雰囲気には慣れませんねぇ…
一人ランチができるようにはなりましたが。

まずは、「月―夜を彩る清けき光」@渋谷区立松濤美術館
月が描かれたいろいろな作品を1度に見られたことで、改めて平安時代(それより前から)から変わらない「月」を紫式部豊臣秀吉、はたまた聖徳太子も見てたのかなぁと思うと感慨深いです。
初めて訪れた美術館ですが、館内の装飾が素敵でした。

次に、「戸栗コレクション1984・1985-revival-展」@戸栗美術館
こちらは創設者戸栗亨が集めた陶磁器コレクションが展示されている私立美術館。
ただ単に作品を見るだけではなく、自分だったらどんな器をどのくらいの価格で買うかな~なんて考えながら見て回りました。

最後は、「秋の優品展ー心の旅ー」@五島美術館
こちらは、庭がとにかくスゴイと聞いていたので、一度訪れてみたかった美術館。
想像以上の庭の広さに驚きました。一回りするにも20~30分くらいかかったでしょうか。
池や茶室や立派な門があったり。ジブリ映画に出てきそうな石段が何か所かあるのですが、どの石段もデザインが違っておもしろかったなー。
ちょうど国宝の紫式部日記絵巻が展示されている期間に行ったのですが、そこまでに混んでおらずじっくり本物を見ることができてよかったです。
美術品を見ながら、自然にも触れられる良い美術館でした。今度は春や夏に行ってみたい。


一日に3か所の美術館巡るのは、けっこうハードでしたが、「ぐるっとパス」を購入してから、普段行かないような美術館や街に足を運ぶキッカケになるのは嬉しい。

これでは、ますます一人行動に拍車がかかりますな。
でも一人のほうが、周囲に神経使うので、新しい発見や気づきがあるのはけっこう嬉しいので、マイペースに楽しんでます。


「社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう」を読んで

数か月前から、とあるブログの存在を知り、
過去記事を遡って読むと同時にその著者の本を立て続けに読んでいます。

今回はこちらの本を読んだ感想を。

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読む人によっては、一気に読むかもしれませんが、私は数回(数十回)に渡ってやっと読み終えました。それだけボリュームある内容でした。
よくある観光名所の写真や感想ではなく、さすが「社会派」、経済や政治面からみたその国の現状を文章で綴っているので、美しい建物、街など観光都市という上辺だけでなくいろいろな事を深く考えさせられます。(観光国だけでなく、カンボジアパキスタンなど50か国ほど行かれているようです)
実際その場所に行って、自身の目で見て体験しているのでよけい説得力があります。

国によって紙幣に印刷されるものが、政治家、文化人、植物など違うなんて気にしたことなかったです。
日本の紙幣に印刷されている人物が政治家から文化人に変わったのは、ソウルオリンピック開催の影響があるのではないか、といった考察は、思わず「なるほどー!」と唸ってしまいました。

旅行で目の前で見たもの、光景をただ美しい、おもしろい、楽しい…など一言で思考を停止するのではなく、
何によって、この光景があるのか、どうしてこうなったのかを考える、良いキッカケだと思いました。

本書はそういった考え方の引き出しが増える内容でした。
著者は「本当の旅行好きは、お金がないから旅行に行けない、なんて言わない」と随所で言っています。
ついついお金を言い訳にしてしまうちは、旅行好きとは言えないんでしょうね~。
あと、「いつか行きたい」ではなく、情勢などで一般に観光で行けなくなってしまうことがあるので、自分の状況だけでなく、現地の状況もふまえながら、行けるうちに早めに行くということも。

また、旅行へ行く独自ルールとして

(1)自分から話しかけた人しか信じない
(2)「偶然、再会する」のはあり得ないと理解する

を掲げているそうで、旅行でつい浮かれてしまう気持ちを律する良いルールだと感じました。

やはり英語はある程度話せたほうが、現地の行動範囲が広がることは痛感。
まずは、英語の勉強ですね。